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2012年6月

水泳界からの東日本大震災の復興支援・その後

 

4月の「チャリティースイム」の参加者の想いが届けられました。
・・・相模原市水泳協会(神奈川県)の代表とハギトモさんとが使者として
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一日で宮城,岩手の4ヶ所に


相模原市水泳協会(籾山昭二会長)が大震災後いち早く動き、地道に続けてきた水泳を通じての友情は途切れてはいない。
第2回チャリティースイム イン さがみはら」(4/15)で集まった950名の参加者の想いを形にし、そこに(株)ミズノ、(株)Jaked、(株)ヤマナミの3社の水泳用品メーカーからの協力も加わり、6月13日一日かけて相模原市水泳協会の代表と、そのチャリティー大会にも参加した元五輪日本代表萩原智子さんも独自に集めた水着を携えてその支援品を届け終わった。
当協会も「これで「第2回チャリティー スイム イン さがみはら」を終了させていただきます、来年の第3回に向けて本日から動き出します」と発表した。

今回【水夢王国】国王も同行させて頂いた。そこで目にしたものは、水泳を通じての友情が続いていて、我々が想像する以上であろう辛い災害を乗り越えて水泳と向き合って頑張っている人たちがいること、そしてその人たちの前向きな明るい笑顔に出会えたことであり、チャリティー大会に参加した方々にぜひ伝えたいと思った。

そしてまた、車で通った被災地の現状=あれから1年以上が経っている。国も復興庁を新設し特別に力を入れているはずだ。途中のサービスエリアでは見たこともないほどの数のトラックの列を見て力強い復興への象徴だと感じたし、マスメディアでは明るい復興に向う番組を目にするし、全国からボランティアの方々の尊い支援もたくさんある。一度や二度見ただけで偉そうなことを語るべきではないと思うが、しかしまだまだ復興が遅れているどころか、手つかずではないかと思われるほどの現状もまだまだあるのではないかと感じ、我々一人ひとりができることを今後も継続することがとりもなおさず必要だということも併せて伝えなくては、という思いを強くしたのだ。以下その詳細をレポートしたい。

←「第2回チャリティースイム イン さがみはら」(4/15)の全員集合写真です(東海大水泳部加藤監督撮影)。

行程は6月12日の深夜に車で出発、翌13日に宮城県と岩手県の4ヶ所を回ってその日の深夜に帰宅という、朝、顔を洗ったり歯を磨いたりの時間もないくらいの強行軍で、交替で運転している水泳協会の面々もさぞかし大変だったと思うが、誰一人として疲れた顔一つ見せなかったのは、みんなの想いを届けるという使命感と、水泳部の生徒達の笑顔とお会いした皆さんの決して負けないという強い決意に出会って、かえってこちらの方が励まされたからではないかと思う。

以下の詳細は掲載するかどうか随分と迷ったのだが、被災地の方々が異口同音に「被災地のニュースが薄れてきている。現状を知ってもらいたい」「ボランティアの人たちも少なくなってきているからぜひ知ってもらって」という声に押されて、私なりに感じた発信をしてゆくつもりだ。

以下はその行動記と今回の支援物資の詳細である。

6月12日 23時
相模原出発

翌朝は仙台空港辺りから沿岸部を走っている。車外には徐々に言葉を失う光景が続き、車内は静まり返っている。

6月13日 8時
スポーツアカデミー石巻(宮城県石巻市)到着

ここは津波で床上2m以上浸水し被害甚大であったというが、支援もあり復旧工事がこの4月末に完了、再開時の初泳ぎ会に間に合うようにプールフロアの内五台を今回の中から真っ先に支援したと協会の代表から聞く。その赤台が新装なったプールサイドに目新しく光っていた。
高橋総支配人らが朝早くから来られご案内をして頂く。所内の壁には、決して忘れないという意味だろうか、その浸水時の痕が頭より上の高さにくっきり残している所もあり(下左)、まだここは被害が少なかった方だと言われるが大津波のすさまじさを物語っていた。

館内の入口には「もりあげよう石巻、みんなとともに!」のポスターが(下右)
7/1のニュースから
>>
津波被害の“象徴”大型タンク撤去 宮城・石巻市(TVのANNニュース)

 

●次は気仙沼をめざして。
道中「負けるものか!」という復活への意気込みも、被災した人と支援者の頑張りが実を結んでいるのではないかという個所もたくさん見受けられた。思わず手を会わせて祈りたい気持ちだった。そして又、息をのむような光景にも遭遇。海が見えないような奥地の道路の横に船が…。祈りの花が手向けてあった。

6月13日 11時半
宮城県立気仙沼高校に到着

気仙沼に入るといっそう被害のツメ跡が目を覆う。
宮城県立気仙沼高校、水泳部員2名分(現在部員2名のみ)水着・キャップ・セームが贈られた。テスト中ということで生徒には会えなかったのが残念だった。

水泳協会が震災後素早く動き、「チャリティースイム」とその後にもグリーンプールに練習に招待したりと支援を続けてきた「スイミングアカデミー気仙沼」の建物は3月に来た時にはちょうど取壊しが始まる時だったので、もう既に更地になっていた。

その際、取壊される自分達のプールを見て涙ぐんでいた女子の部員を思い出した。
しかし、その奥にあった焼け焦げたバスの群れは今回もそのままだった。

ガレキというが(上左)、元は家の柱だったり、大事な宝物だったりだ。
これが至る所にうず高く積まれている。また必死の作業が続いているのだろうが、どこまでも続く津波の爪痕が残っていた。
ここまでやっと整理できたということかもしれないが、特にガレキの処理をもっとす早く他の都道府県で協力すべきではないかと痛感する。あるいは他の処理の仕方はないのだろうか?(右欄上に続く)




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(左欄下から続く)
陸前高田市を通過し

6月13日 13時
岩手県立高田高校に到着
この高田高校は本来は陸前高田市の広田湾の海岸から1Kmの位置にあるこの高校は、津波により構内の施設が壊滅的な被害を受けた。津波が校舎の3階にまで達し、体育館が校舎に突き刺さる程のものだった。
>>YouTubuにある
高田高校6/10の現況を見る。

高田高校水泳部員は、学校から500m離れた公営の屋内プールで練習していて当時11人の部員の内、9名が非難した市民会館で被害に遭い命を落とした。
6/25の神奈川新聞によると

「主将の菅野千裕さん(17)は会館内の倉庫に流され、天井との約10cmの隙間で呼吸し助かった…、」という。現在高田高校は、陸前高田市ではなく隣町の大船渡市の仮校舎に全員がスクールバスで1時間半

あまりかけて通っている。練習する場所もないので何時間も掛けて更に北の釜石市営プールまで行き練習するしかないとのことだ。
帰りのスクールバスの時間が迫っているということで、慌ただしい時間だったが、水泳部員16名が顧問の先生と待っていて頂いていた。
段ボールにいっぱいの水着・キャップ・セーム・チームTシャツが贈られた。更に萩原さんも自ら集めた水着を贈り、部員一人ひとリとハグしてパワーを交換。「辛い経験をしている中でも、みんな元気な笑顔を見せてくれて、ホッとしました。でも私達が想像もできないくらいの経験や想いをしているのです。みんなから、「強さ」を感じました。来週から試合が始まるそうなので、それぞれの目標に向かってほしいです。」とブログにも書いている。

6月13日 16時
岩手県立釜石高校に到着 

釜石高校水泳部とは、顧問の一方井(いっかたい)教諭が、元は同じ神奈川県内の湘南工大付属高校で水泳部顧問をされていた縁があってこの高校への訪問となった。まず、部活が始まるまで校長室に招き入れて頂き、

届け隊の面々としばし歓談し学校長、副校長、一方井先生(右端)と萩原さんとで記念撮影。
そして、公立高校では珍しいと思われる屋内プール(冷水)に移動して部員の練習開始前に合流。

・・(↑贈られたペースクロックを皆で組立て)

一方井先生自身が自宅のアパートを津波で流され、手元に何もないところから部活動を再開せざるをえなかったという。又、萩原さんから代表して水着を受け取り、ハグもし合った主将の佐藤さん(右)は

津波で父親を亡くしているが「萩原選手とお会いでき大感激でした。水泳を続けていてよかったです」と語った。

贈られた念願のペースクロックはその場で皆で組立てる。女子達はお礼にとその場で贈られた水着を着てプールに。
不便な生活の中の練習に少しでも弾みがつけばいいなあと願う。

そして、元気に練習が始まったのを見届けて、我々一行は一路相模原へと一路南下。メンバー全員が今後も決して被災地を忘れてはいけない、継続が重要だといういことを肝に命じつつ車中でうとうと…。
相模原到着は午前3時を回っていた。

萩原さんは自身のブログでこう結んでいる。
「被災地の復興は、これからなんだ。
忘れてはいけないし、継続することが大事なんだ…
また復興へのお手伝いができるよう、私自身も頑張ります。
皆さんの協力が必要な時もあります……その時は、ぜひ力を貸して下さい」

相模原市水泳協会では、今後もまだまだ支援を継続する必要があると、既に第3回のチャリティー大会を来年4月後半に開催する予定で着々と準備を進めていることをお伝えし、ぜひ力になる人が一人でも増えることを念じ、長い同行記を閉じることにする。

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